ホーム > 図形の学習ガイド > 三角形の五心

高校1年数学A図形の性質

三角形の五心 ― 重心・外心・内心・垂心・傍心の見分け方と性質

三角形には「3本の線がちょうど1点で交わる」特別な点が5種類あります。これをまとめて三角形の五心と呼びます。名前が似ていて混同しやすいのですが、どの線の交点なのかを押さえれば、性質は自然に導けます。この記事ではそれぞれの点がなぜ1点で交わるのか、入試でどんな形で問われるのかを図と例題で整理します。

対象:高校1年(数学A) / 読む時間の目安:12分

1. 五心は「どの線の交点か」で覚える

まずは全体像を表で確認しましょう。五心の性質はすべて、交点をつくっている線の性質から出てきます。

名前何の交点か大事な性質
重心 G3本の中線中線を 2:1 に分ける
外心 O3辺の垂直二等分線3つの頂点から等距離(外接円の中心)
内心 I3つの内角の二等分線3辺から等距離(内接円の中心)
垂心 H頂点から向かいの辺への3本の垂線∠BHC=180°−A(鋭角三角形のとき)
傍心1つの内角と2つの外角の二等分線3辺(の延長)から等距離。全部で3個ある

3本の線がいつも1点で交わるのは、実は当たり前のことではありません。2本の直線は普通1点で交わりますが、3本目がその点を通る保証はないからです。五心の学習では「なぜ3本目も同じ点を通るのか」を理解することが、性質を覚えるいちばんの近道になります。

2. 重心 ― 中線の交点

頂点と向かいの辺の中点を結ぶ線分を中線といいます。3本の中線は1点で交わり、その点を重心と呼びます。

ABCDEFG21
D、E、F は各辺の中点。同じ数の印は等しい長さ。AG:GD=2:1(比率どおりに描いています)。
AG:GD = BG:GE = CG:GF = 2:1座標では G=((x₁+x₂+x₃)/3,(y₁+y₂+y₃)/3)

2:1になる理由は、中点連結定理で説明できます。中点EとFを結ぶと、EFはBCに平行で長さはBCの半分です。すると△GEFと△GBCは相似で、相似比は 1:2 になります。したがって GF:GC=1:2、つまり CG:GF=2:1 です。中線BEとCFの交点がCFを2:1に分けるなら、同じ議論で中線ADとCFの交点もCFを2:1に分けます。CF上で2:1に分ける点は1つしかないので、3本の中線は同じ点で交わることがわかります。

重心は名前のとおり、厚さが均一な三角形の板をその1点で支えるとつり合う点です。中線は三角形の面積を2等分するので、どの中線の上でもつり合います。また3本の中線によって、三角形は面積の等しい6つの小さな三角形に分けられます。

3. 外心 ― 垂直二等分線の交点

辺ABの垂直二等分線上の点は、AとBから等しい距離にあります。これは中学で学んだ作図の基本性質です。

ABCO
3本の垂直二等分線の交点が外心O。OA=OB=OC なので、Oを中心に3頂点を通る円(外接円)が描ける。

ABの垂直二等分線とBCの垂直二等分線の交点をOとすると、OA=OB かつ OB=OC です。すると OA=OC なので、OはCAの垂直二等分線の上にもあります。これで3本が1点で交わることが示せました。

ポイント

  • 外心は外接円の中心で、OA=OB=OC=R(外接円の半径)。
  • 鋭角三角形なら内部、直角三角形なら斜辺の中点、鈍角三角形なら外部にある。
  • 円周角の定理より、鋭角三角形では ∠BOC=2A。

外心はOA、OB、OCの3本で三角形を3つの二等辺三角形に分けます。角度の問題では「二等辺三角形の底角は等しい」を使って角を追いかけるのが定番です。また外接円の半径Rは正弦定理 a/sin A=2R とも直結しています。

4. 内心 ― 角の二等分線の交点

角の二等分線上の点は、角をつくる2本の辺から等しい距離にあります。外心の場合と同じように考えると、∠Bと∠Cの二等分線の交点Iは3辺すべてから等距離になり、∠Aの二等分線の上にもあることがわかります。

ABCrI
同じ色の印は等しい角。内心Iから辺BCへ下ろした垂線の長さ r が内接円の半径。
S = 1/2·r(a + b + c)S は三角形の面積、r は内接円の半径

この公式は、三角形を内心Iで3つに分けると理解できます。△IBC、△ICA、△IAB はどれも高さが r です。面積はそれぞれ 1/2·ar、1/2·br、1/2·cr で、足し合わせると上の式になります。3辺の長さから面積を求め、この式で r を出す流れは入試の頻出パターンです。

内心については、角度の公式 ∠BIC=90°+A/2 もよく使います。△IBCで ∠IBC+∠ICB=(B+C)/2=(180°−A)/2 なので、∠BIC=180°−(90°−A/2)=90°+A/2 となります。さらに、∠Aの二等分線がBCと交わる点をPとすると BP:PC=AB:AC が成り立ちます(角の二等分線の定理)。

5. 垂心 ― 垂線の交点

各頂点から向かいの辺(またはその延長)へ下ろした3本の垂線も、1点で交わります。この点が垂心です。

ABCH
3本の垂線(青い点線)の交点が垂心H。鋭角三角形では内部にある。

垂線が1点で交わる理由は少し工夫が必要です。各頂点を通って向かいの辺に平行な直線を引くと、もとの三角形の2倍の大きさの三角形ができます。もとの三角形の頂点は、大きな三角形の各辺の中点になります。すると、もとの三角形の垂線は大きな三角形の垂直二等分線になるので、外心のときと同じ理由で1点で交わるのです。

垂心の位置は鋭角三角形なら内部、直角三角形なら直角の頂点、鈍角三角形なら外部です。鋭角三角形で、Bからの垂線の足をE、Cからの垂線の足をFとします。四角形AFHEでは ∠AFH=∠AEH=90° です。四角形の内角の和は360°なので ∠FHE=180°−A となり、その対頂角である ∠BHC も 180°−A になります。

発展:オイラー線

正三角形でない三角形では、外心O・重心G・垂心Hは一直線上に並び、OG:GH=1:2 になります。上の図の三角形でも、実際に座標で確かめるとこの関係が成り立っています。正三角形では五心のうち傍心以外の4つが1点に重なります。

6. 傍心 ― 外角の二等分線の交点

∠Aの内角の二等分線と、∠Bと∠Cの外角の二等分線は1点で交わります。この点を∠A内の傍心といいます。内心と同じく3本の直線(辺BCと、辺AB・ACの延長)から等距離にあるので、傍心を中心にしてこの3本に接する円が描けます。これを傍接円と呼びます。

傍心は三角形の外側にあり、どの内角の二等分線を使うかで3つできます。教科書では軽く触れられる程度ですが、面積と傍接円の半径の関係を問う問題などで登場することがあります。「内心の仲間で、外側にあるもの」と理解しておけば十分です。

7. 例題

例題1:五心と角度

A=70° の鋭角三角形ABCで、内心をI、外心をO、垂心をHとします。∠BIC、∠BOC、∠BHC をそれぞれ求めなさい。

考え方:公式を覚えるより、導き方を思い出しながら使うと混同しません。

内心:∠IBC+∠ICB=(180°−70°)÷2=55° より、∠BIC=180°−55°=125°。

外心:中心角は円周角の2倍なので、∠BOC=2×70°=140°。

垂心:∠BHC=180°−70°=110°。

例題2:内接円と外接円の半径

3辺が 5、12、13 の三角形について、内接円の半径 r と外接円の半径 R を求めなさい。

考え方:5²+12²=13² なので直角三角形です。面積が簡単に出せるので S=1/2·r(a+b+c) を使います。

面積は 1/2×5×12=30。30=1/2×r×(5+12+13)=15r より、r=2。

直角三角形の外心は斜辺の中点なので、R=13÷2=13/2。

8. よくあるつまずき

つまずき1:外心と内心を取り違える

「外接円の中心=外心=垂直二等分線」「内接円の中心=内心=角の二等分線」とセットで覚えます。外心は頂点からの距離、内心は辺からの距離が等しい点です。図に半径を描きこむと区別しやすくなります。

つまずき2:重心の比を 1:2 と逆にする

重心は頂点に近い側が長く、AG:GD=2:1 です。重心は中線を3等分した点のうち、辺に近い方だと覚えておくと迷いません。

つまずき3:鈍角三角形でも同じ公式を使う

∠BOC=2A や ∠BHC=180°−A は、鋭角三角形を前提にした式です。鈍角三角形では外心や垂心が外に出るので、図を描き直して確かめましょう。

9. 練習問題(解答つき)

問1 △ABCで A=50° です。内心をIとするとき、∠BIC の大きさを求めなさい。

解答を見る

∠IBC+∠ICB=(B+C)÷2=(180°−50°)÷2=65°。
∠BIC=180°−65°=115°(90°+50°÷2 でも同じ)。

問2 3辺の長さが 13、14、15 の三角形の面積は84です。内接円の半径 r と外接円の半径 R を求めなさい。

解答を見る

84=1/2×r×(13+14+15)=21r より r=4。
R は、長さ14の辺の向かいの角をBとして求めます。S=1/2×13×15×sin B より sin B=168/195=56/65。正弦定理より 2R=14÷(56/65)=65/4 なので R=65/8。

問3 ∠C=90°、BC=6、CA=8 の直角三角形ABCで外心をO、垂心をHとします。線分OHの長さを求めなさい。

解答を見る

直角三角形の垂心は直角の頂点なので H=C。外心Oは斜辺ABの中点です。
AB=√(6²+8²)=10 なので、OH=OC=AB÷2=5(OはA、B、Cから等距離)。

五心の性質を、問題で使いこなそう

GeOriginの高校モード「GeOrigin Advance」では、単元学習を基礎・標準・応用の3段階で進められます。補助線問題や間違い探し問題、手ごたえのあるハイレベル問題もあるので、定義の確認から入試レベルまで練習できます。

無料でアプリを使ってみる →

執筆:GeOrigin 編集部(中学・高校の図形学習アプリ「GeOrigin」の運営チーム)。内容は中学・高校の学習指導要領と教科書の範囲に沿っています。