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中学1年平面図形

基本の作図 ― 垂直二等分線・角の二等分線・垂線の手順と理由

作図は「手順を暗記する単元」と思われがちですが、3つの基本の作図はどれも同じ1つのアイデアから生まれています。理由がわかれば手順を忘れても自分で組み立て直せますし、入試の「この条件を満たす点を作図せよ」という問題にも対応できます。

対象:中学1年〜 / 読む時間の目安:9分

1. 作図のルールと、すべての作図の土台

数学の「作図」で使ってよい道具は、定規とコンパスだけです。定規は2点を通る直線を引くためだけに使い、目盛りで長さを測ってはいけません。分度器も使いません。コンパスは円や弧をかくことと、ある長さを別の場所へ写すことに使います。

測らずに正確な図がかけるのは、コンパスが「等しい長さ」を確実に作れる道具だからです。中心から円周上のどの点までも距離は同じです。作図とは、この「等しい長さ」を組み合わせてひし形や二等辺三角形のような線対称な形を作り、その対称の軸を引き出す作業だといえます。

ポイント

3つの基本の作図は、どれも「ひし形(またはたこ形)の対角線は垂直に交わり、一方がもう一方を二等分する」という性質を使っています。作図の跡の弧をよく見ると、必ずひし形がかくれています。

2. 垂直二等分線

線分ABの中点を通り、ABに垂直な直線を垂直二等分線といいます。

手順

  1. 点Aを中心に、ABの半分より長い半径で円(弧)をかく。
  2. 点Bを中心に、同じ半径で円(弧)をかく。
  3. 2つの弧の交点P、Qを直線で結ぶ。
AB PQM
図1 灰色の弧が作図の跡。青い点線のAPBQはひし形になる。

なぜ垂直二等分線になるのか

同じ半径の弧をかいたので、AP=BP=AQ=BQ です。4つの辺が等しい四角形APBQはひし形です。ひし形の対角線は垂直に交わり、互いに相手を二等分するので、PQはABを直角に二等分します。半径をABの半分より長くするのは、2つの弧が交わるようにするためです。

垂直二等分線上の点 ⇔ 2点A、Bから等しい距離にある点「AとBから同じ距離」と書かれていたら、垂直二等分線の出番

この性質が作図の目的として最もよく出ます。たとえば「2つの町A、Bから等しい距離に駅を作る」なら、駅は線分ABの垂直二等分線上にあります。円の弦の垂直二等分線は必ず円の中心を通るので、円の中心を見つける作図にも使えます。

3. 角の二等分線

∠XOYを2つの等しい角に分ける半直線を角の二等分線といいます。

手順

  1. 頂点Oを中心に円(弧)をかき、2辺との交点をC、Dとする。
  2. C、Dをそれぞれ中心に、同じ半径で弧をかき、その交点をPとする。
  3. 半直線OPを引く。
OCDP XY
図2 OC=OD、CP=DP。オレンジの2つの角が等しくなる。

なぜ角の二等分線になるのか

四角形OCPDを見ると、OC=OD(同じ円の半径)、CP=DP(同じ半径の弧)です。となり合う2辺ずつが等しいこの形はたこ形で、対角線OPを軸とする線対称な図形です。だから∠COP=∠DOPになります。中2で合同を習うと、△OCPと△ODPが3組の辺がそれぞれ等しいので合同、と証明できます(OPは共通)。

角の二等分線上の点 ⇔ 角の2辺から等しい距離にある点「2本の直線(辺)から等しい距離」なら、角の二等分線

ここでいう「辺からの距離」は、点から辺へ下ろした垂線の長さのことです。三角形の3つの辺に接する円(内接円)の中心を求めるときにも、この性質を使います。

4. 垂線

直線ℓに垂直に交わる直線を、ℓの垂線といいます。ℓ上にない点Pを通る垂線の作図がよく出ます。

手順(点Pが直線ℓ上にないとき)

  1. 点Pを中心に、ℓと2点で交わる円(弧)をかき、交点をA、Bとする。
  2. A、Bをそれぞれ中心に、同じ半径で弧をかき、その交点をQとする。
  3. 直線PQを引く。
PABQℓH
図3 PA=PB、QA=QB なので、PQは線分ABの垂直二等分線になる。

なぜ垂線になるのか

PA=PB なので、Pは線分ABの垂直二等分線上にあります。QA=QB なので、Qも同じ垂直二等分線上にあります。異なる2点を通る直線は1本しかないので、直線PQがABの垂直二等分線、つまりℓの垂線です。垂線の作図は、垂直二等分線の作図の応用だとわかります。

点Pが直線ℓ上にあるときは、Pを中心に円をかいてℓとの交点をA、Bとし、ABの垂直二等分線を引きます。これは180°の角(平角)の二等分線をかいているのと同じです。こうして90°が作れると、それを二等分して45°が作れます。正三角形の60°を二等分すれば30°です。このように多くの角が作図できます。

垂線は「点と直線の距離」を表す線でもあります。点Pから直線ℓへのいちばん短い道のりは、ℓに垂直に下りる線分PHです。三角形の高さや、点から直線までの最短距離を求める問題で使います。

5. どの作図を使うか ― 条件からの見分け方

入試の作図問題では、どの作図を使うかが書かれていません。問題文の言葉から判断します。

問題文の言葉使う作図
2点から等しい距離/円の中心を求める垂直二等分線
2辺(2直線)から等しい距離角の二等分線
最短距離/高さ/接線(半径に垂直)垂線
45°、30°、15°などの角垂線(90°)や正三角形(60°)を二等分
折り返し・対称な点垂線を引き、同じ長さを写す

条件が2つあるときは、それぞれの条件を満たす線を引き、その交点を答えにするのが基本の考え方です。

6. 例題

例題1

△ABCの3つの頂点A、B、Cから等しい距離にある点Oを作図するには、どうすればよいですか。

考え方:「AとBから等しい距離」と「BとCから等しい距離」の2つの条件に分けます。

辺ABの垂直二等分線と、辺BCの垂直二等分線を作図し、その交点をOとする。

OA=OB かつ OB=OC なので、OA=OB=OC です。Oを中心に半径OAの円をかくと、3つの頂点をすべて通ります(この円を外接円といいます)。

例題2

直線ℓについて同じ側に2点A、Bがあります。ℓ上に点Pをとり、AP+PBが最も短くなるようにするには、どこにPをとればよいですか。

ABA′Pℓ
A′はℓについてAと対称な点。A′とBを結んだ直線がℓと交わる点がP。

考え方:ℓについてAと対称な点A′をとると、ℓ上のどの点Pでも AP=A′P です。だから AP+PB=A′P+PB となり、これが最小になるのはA′、P、Bが一直線に並ぶときです。

作図:Aからℓに垂線を引き、ℓの反対側に同じ長さをコンパスで写してA′をとる。直線A′Bとℓの交点がPです。

7. よくあるつまずき

つまずき1:弧の半径が短すぎて交わらない

垂直二等分線の作図では、半径をABの半分より長くしないと弧が交わりません。迷ったら、ABの長さの3分の2くらいを目安にコンパスを開くと失敗しません。

つまずき2:作図の跡を消してしまう

テストでは、コンパスでかいた弧(作図の跡)が「正しく作図した証拠」になります。きれいに見せようと消すと減点されることがあります。弧は残したまま提出しましょう。

つまずき3:垂直二等分線と垂線を混同する

垂直二等分線は「線分の真ん中」を通り、垂線は「指定された点」を通ります。手順が似ているので、何を通る線を引きたいのかを最初に確認しましょう。

8. 練習問題(解答つき)

問1 直線ℓ上の点Oを頂点とする135°の角を作図する手順を説明しなさい。

解答を見る

① 点Oを通るℓの垂線を作図する(180°の二等分で90°ができる)。
② 垂線とℓでできる2つの90°のうち一方を、角の二等分線で二等分して45°を作る。
③ もう一方の90°と、となりの45°を合わせると 90°+45°=135°。

問2 △ABCの辺BC上にあって、辺ABと辺ACから等しい距離にある点Pを作図するには、どうすればよいですか。

解答を見る

2辺AB、ACから等しい距離にある点は、∠BACの二等分線上にあります。
∠Aの二等分線を作図し、辺BCとの交点をPとする。

問3 円の一部(弧)だけが残っています。もとの円の中心を作図で求める方法を説明しなさい。

解答を見る

弧の上に3点A、B、Cをとります。弦ABと弦BCの垂直二等分線をそれぞれ作図し、その交点を中心とします。
中心は円周上のどの点からも等しい距離にあるので、中心はAとBから等しい距離、BとCからも等しい距離にあります。

作図の考え方を、問題で確かめよう

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執筆:GeOrigin 編集部(中学・高校の図形学習アプリ「GeOrigin」の運営チーム)。内容は中学・高校の学習指導要領と教科書の範囲に沿っています。