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中学2年証明

平行四辺形の性質と、平行四辺形になるための条件 ―「性質」と「条件」の向きを区別する

平行四辺形の単元では「対辺が等しい」「対角線が中点で交わる」といった文が何度も出てきます。同じ文が「性質」として出る場面と「条件」として出る場面があり、ここで混乱する人がたくさんいます。この記事では、性質がなぜ成り立つのかを合同から確かめ、条件との向きの違いを図と例題で整理します。

対象:中学2年〜中学3年 / 読む時間の目安:9分

1. 平行四辺形の定義

平行四辺形とは2組の向かい合う辺(対辺)がそれぞれ平行な四角形のことです。これが「定義」で、平行四辺形という言葉の意味そのものです。四角形ABCDが平行四辺形であることを、記号で ▱ABCD と書くこともあります。

頂点は A→B→C→D と、となりどうしの順にまわって名前をつけます。ですから向かい合う辺は「ABとDC」「ADとBC」、向かい合う角は「∠Aと∠C」「∠Bと∠D」です。対角線は AC と BD の2本です。この呼び方があいまいなままだと、あとで性質を読むときに迷ってしまいます。図をかいたら最初に確認しておきましょう。

2. 平行四辺形の3つの性質と、その理由

定義は「平行」だけを言っています。ところが平行四辺形には、平行であることから自動的に出てくる性質が3つあります。

平行四辺形の性質

  • ① 2組の対辺はそれぞれ等しい(AB=DC、AD=BC)
  • ② 2組の対角はそれぞれ等しい(∠A=∠C、∠B=∠D)
  • ③ 対角線はそれぞれの中点で交わる(OA=OC、OB=OD)
A B C D
同じ印の辺・角は等しい。向かい合う辺と向かい合う角が、それぞれペアになっている。

なぜ対辺と対角が等しいのか

理由は、対角線ACを1本引くとわかります。四角形が△ABCと△CDAの2つに分かれます。AD∥BC なので錯角で ∠DAC=∠BCA、AB∥DC なので錯角で ∠BAC=∠DCA が言えます。ACは共通な辺です。つまり「1組の辺とその両端の角」がそれぞれ等しいので、△ABC≡△CDA になります。

合同な図形の対応する辺は等しいので、AB=CD、BC=DA が出ます。これが性質①です。また対応する角から ∠B=∠D が出ます。対角線BDを引いて同じことをすれば ∠A=∠C も言えるので、性質②がそろいます。

平行線の錯角から合同を作り、合同から長さや角を引き出す。この流れは平行四辺形の証明問題でくり返し使います。錯角の見つけ方に自信がない人は平行線と角で確認しておきましょう。

なぜ対角線は中点で交わるのか

A B C D O
対角線の交点をOとすると、OA=OC、OB=OD になる。

2本の対角線の交点をOとして、△OABと△OCDを比べます。性質①から AB=CD です。AB∥DC なので錯角で ∠OAB=∠OCD、∠OBA=∠ODC も言えます。やはり「1組の辺とその両端の角」で △OAB≡△OCD となり、OA=OC、OB=OD が出ます。どちらの対角線もOでちょうど半分に分けられる、ということです。

ついでに覚えておきたいのが、となり合う角の関係です。AD∥BC なので、∠Aと∠Bは平行線の同側内角になり、∠A+∠B=180°です。対角が等しいことと組み合わせると、1つの角がわかれば残りの3つの角がすべて決まります。

3. 平行四辺形になるための5つの条件

ここからは向きが逆になります。「ある四角形が平行四辺形だといえるのは、どんなときか」という問題です。次の5つのうち、どれか1つが成り立てば平行四辺形です。

平行四辺形になるための条件

  1. 2組の対辺がそれぞれ平行である(定義)
  2. 2組の対辺がそれぞれ等しい
  3. 2組の対角がそれぞれ等しい
  4. 対角線がそれぞれの中点で交わる
  5. 1組の対辺が平行で、その長さが等しい

見比べるとわかるように、2〜4は性質①〜③をひっくり返したものです。性質は「平行四辺形 ならば ○○」、条件は「○○ ならば 平行四辺形」で、矢印の向きが反対になっています。証明の答案で使うときは、どちらの向きで使っているのかを意識してください。「平行四辺形の対辺は等しいから」と書けば性質、「2組の対辺がそれぞれ等しいから、四角形ABCDは平行四辺形である」と書けば条件です。

5つ目の条件に「その」がつく理由

いちばん間違えやすいのが5の条件です。平行で、なおかつ等しいのは同じ1組の対辺でなければいけません。「1組の対辺が平行で、もう1組の対辺が等しい」では平行四辺形とはいえないのです。

A B C D A B C D 平行四辺形 等脚台形
どちらも AD∥BC(矢印の印)、AB=DC(線の印)。それでも右の等脚台形は平行四辺形ではない。

右の図のように、上底と下底が平行で左右の脚が同じ長さの等脚台形は、「1組の対辺が平行で、もう1組の対辺が等しい」を満たします。けれども AB と DC は平行ではありません。反例が1つでもあれば条件としては使えない、というのが数学の約束です。5の条件を書くときは「AD∥BC、AD=BC」のように、同じ辺の名前が2回出てくるかを確認するとミスが減ります。

4. 長方形・ひし形・正方形との関係

長方形・ひし形・正方形は、どれも平行四辺形の特別な場合です。ですから平行四辺形の性質はすべて持っていて、それに加えて対角線に次のような性質があります。

図形定義対角線の性質
長方形4つの角がすべて等しい長さが等しい
ひし形4つの辺がすべて等しい垂直に交わる
正方形4つの角も4つの辺も等しい長さが等しく、垂直に交わる

覚え方のコツは、正方形を「長方形でもあり、ひし形でもある図形」と考えることです。長方形の性質(対角線の長さが等しい)とひし形の性質(垂直に交わる)を両方もっているので、表の最後の行が自然に出てきます。平行四辺形に「対角線が等しい」を足すと長方形、「対角線が垂直」を足すとひし形になる、という見方もできます。

5. 例題

例題1(角と長さ)

平行四辺形ABCDで、AB=5cm、AD=8cm、∠B=70°です。∠Aの二等分線が辺BCと交わる点をEとするとき、∠x(∠AEB)の大きさと、ECの長さを求めなさい。

70° x A B C D E 5cm 8cm
∠Aの2つの角には同じ印。図の大きさは目安です。

考え方:となり合う角の和が180°であることから∠Aを出します。次に、AD∥BC の錯角を使って∠xを∠Aの半分と結びつけます。

∠A=180°-70°=110° なので、∠BAE=∠EAD=55°。
AD∥BC より錯角が等しいので、∠x=∠AEB=∠EAD=55°

△ABEでは ∠BAE=∠BEA=55° なので、二等辺三角形です。よって BE=BA=5cm。
EC=BC-BE=8-5=3cm(BC=AD=8cm は対辺が等しい性質から)

この例題は入試でもよく見る形です。平行四辺形に角の二等分線が入ると、二等辺三角形ができると覚えておくと、長さの問題がすぐに片づきます。

例題2(平行四辺形であることの証明)

平行四辺形ABCDの辺AD、BC上に、AE=CF となる点E、Fをとります。四角形EBFDが平行四辺形であることを証明しなさい。

考え方:EDとBFはもともと平行な辺ADとBCの一部です。平行はすぐ言えるので、同じ1組の辺の長さも等しいことを示せば、条件5が使えます。

証明
平行四辺形の対辺は平行だから AD∥BC
よって ED∥BF …①
平行四辺形の対辺は等しいから AD=BC …②
仮定より AE=CF …③
ED=AD-AE、BF=BC-CF なので、②、③より ED=BF …④
①、④より、1組の対辺が平行でその長さが等しいので
四角形EBFDは平行四辺形である。

この証明の前半では「平行四辺形の対辺は等しい」を性質として使い、最後は「1組の対辺が平行でその長さが等しい」を条件として使っています。1つの答案の中で両方の向きが登場する、典型的な問題です。

6. よくあるつまずき

つまずき1:性質と条件を逆向きに使う

「四角形ABCDは平行四辺形であることを証明しなさい」という問題で「平行四辺形の対辺は等しいから」と書くと、証明したい結論を先に使ったことになります。平行四辺形だとわかるまでは、性質は使えません。

つまずき2:「その長さが」を落とす

条件5は、平行な辺と等しい辺が同じ1組でなければいけません。前の章の等脚台形を思い出し、辺の名前が一致しているかを確かめましょう。

つまずき3:平行四辺形の対角線も等しいと思い込む

対角線の長さが等しいのは長方形(と正方形)だけです。ふつうの平行四辺形では、対角線は中点で交わるだけで長さはちがいます。図を正確にかくと、BDのほうがACより明らかに長いことがわかります。

7. 練習問題(解答つき)

問1 平行四辺形ABCDで、∠Aの大きさは∠Bの3倍です。∠Cと∠Dの大きさを求めなさい。

解答を見る

となり合う角の和は180°なので、∠A+∠B=180°。∠B=x とすると 3x+x=180 より x=45。
∠A=135°、∠B=45°。対角は等しいので ∠C=135°、∠D=45°

問2 平行四辺形ABCDの対角線の交点をOとします。AC=10cm、BD=14cm、AB=6cm のとき、△OABの周の長さを求めなさい。

解答を見る

対角線はそれぞれの中点で交わるので、OA=10÷2=5cm、OB=14÷2=7cm。
周の長さ=5+7+6=18cm

問3 四角形ABCDの対角線の交点をOとします。次のうち、四角形ABCDが必ず平行四辺形になるものをすべて選びなさい。
(ア)AB=DC、AD=BC (イ)AD∥BC、AB=DC (ウ)∠A=∠C、∠B=∠D (エ)OA=OC、OB=OD (オ)AD∥BC、AD=BC

解答を見る

(ア)、(ウ)、(エ)、(オ)
(ア)は条件2、(ウ)は条件3、(エ)は条件4、(オ)は条件5にあたります。(イ)は平行な辺(ADとBC)と等しい辺(ABとDC)が別の組なので、等脚台形になる場合があり、平行四辺形とは限りません。

性質と条件の使い分けを、証明問題で練習しよう

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執筆:GeOrigin 編集部(中学・高校の図形学習アプリ「GeOrigin」の運営チーム)。内容は中学・高校の学習指導要領と教科書の範囲に沿っています。