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中学1年平面図形

図形の移動 ― 平行移動・回転移動・対称移動の性質と見分け方

図形の移動は、形も大きさも変えずに図形の位置だけを動かす操作です。中1の平面図形の最初に習いますが、作図や合同・関数のグラフ・高校の座標の問題にまでつながる大事な考え方です。この記事では3つの移動の性質を「なぜそうなるのか」から整理し、見分け方と問題の解き方を身につけます。

対象:中学1年〜 / 読む時間の目安:8分

1. 移動しても変わらないもの・変わるもの

図形を移動すると、もとの図形と移動後の図形はぴったり重なる関係になります。辺の長さも角の大きさも面積も変わりません。変わるのは「どこにあるか」と「どちらを向いているか」だけです。

移動のしかたは次の3種類です。どの移動でも、もとの図形の点Aが移った先の点をA′(エーダッシュ)のように書き、AとA′を「対応する点」と呼びます。

移動決めるものイメージ
平行移動向きと距離机の上でノートを回さずにすべらせる
回転移動回転の中心と角度画びょうで留めた紙をくるっと回す
対称移動対称の軸折り目で紙を裏返す

ポイント

3つの移動で共通して変わらないのは、長さ・角の大きさ・面積です。対称移動だけは図形が裏返るので、頂点A→B→Cの並ぶ回り方が逆になります。

2. 平行移動

平行移動は、図形のすべての点を同じ向きに同じ距離だけ動かす移動です。だから対応する点を結んだ線分AA′、BB′、CC′は、どれも平行で長さが等しくなります。

ABC A′B′C′
図1 平行移動。青い矢印はすべて同じ向き・同じ長さになる。

平行移動は「矢印1本」で表せます。どれか1組の対応する点(たとえばAとA′)がわかれば、ほかの点も同じ矢印の分だけずらせば移動後の図形がかけます。方眼の問題なら「右へ5マス、上へ2マス」のように数えればよく、座標平面ならx座標とy座標にそれぞれ同じ数を足すことと同じです。中2・中3で学ぶ関数のグラフの平行移動も、この考え方の延長です。

もう一つ大事なのは、平行移動では辺の向きも変わらないことです。辺ABと辺A′B′は平行になります。図形の「向き」まで同じなら平行移動、と覚えておくと見分けに役立ちます。

3. 回転移動と点対称移動

回転移動は、1つの点Oを中心にして、図形を決まった角度だけ回す移動です。点Oを回転の中心、回した角度を回転角といいます。

O ABC A′B′C′ 90°
図2 点Oを中心に反時計回りに90°回転。OA=OA′、∠AOA′=90°。

回転移動では、図形のどの点も中心Oからの距離を保ったまま、円をえがくように動きます。そのため次の2つが成り立ちます。

回転移動の性質

  • 中心から対応する点までの距離は等しい(OA=OA′、OB=OB′)
  • 対応する点と中心を結んでできる角は、どれも回転角に等しい(∠AOA′=∠BOB′=回転角)

コンパスの針をOに刺して点Aを回すところを想像すると、OA=OA′は当然だと納得できます。回転角は「全部の点が同じだけ回る」ので、どの点で測っても同じになります。

180°の回転=点対称移動

回転角が180°のときは特別で、点対称移動と呼びます。このとき∠AOA′=180°です。つまり3点A・O・A′は一直線に並び、Oは線分AA′の中点になります。平行四辺形は対角線の交点を中心とする点対称な図形なので、高校までずっと使う性質です。座標平面で原点を中心に点対称移動すると、点(a, b)は(−a, −b)に移ります。

4. 対称移動

対称移動は、1本の直線ℓを折り目にして図形を裏返す移動です。直線ℓを対称の軸といいます。

ℓ ABC A′B′C′
図3 直線ℓについての対称移動。AA′、BB′はℓと垂直に交わり、ℓで二等分される。

対称移動の性質

対応する点を結ぶ線分AA′は、対称の軸ℓと垂直に交わり、ℓによって二等分される。つまり、ℓは線分AA′の垂直二等分線です。

紙を折ってAとA′を重ねたとき、折り目はちょうど真ん中を通り、AA′と直角に交わります。これが理由です。この性質は「対称な点をとる」作図にそのまま使えます。点Aから軸ℓに垂線を下ろし、軸の反対側に同じ距離だけ延ばせばA′が決まります。

対称移動では図形が裏返るので、もとの△ABCで頂点が時計回りに並んでいれば、△A′B′C′では反時計回りになります。平行移動や回転移動では回り方は変わりません。「回り方が逆になっていたら対称移動」という見分け方は、移動の種類を答える問題でとても便利です。

5. 移動の組み合わせ

移動を2回続けると、1回の移動で表せることがあります。とくに対称移動を2回行う場合はよく出題されます。裏返しを2回すると表に戻るので、結果は平行移動か回転移動になります。

ℓm アイウ a 2a(ア→ウ)
図4 アをℓで対称移動してイ、イをmで対称移動してウ。アからウへは、間隔aの2倍の平行移動になる。

「2倍」になる理由は図4で確かめられます。アの頂点から軸ℓまでの距離をpとすると、イの頂点はℓの右側pの位置にあり、軸mまでの距離はa−pです。ウはさらにmの右側a−pの位置に来るので、アからウまでの移動距離は p+p+(a−p)+(a−p)=2a となり、pに関係なく一定です。回転の場合も、角度について同じ計算ができます。

6. 例題

例題1

座標平面上の点A(3, 1)を、原点Oを中心として反時計回りに90°回転移動した点A′の座標を求めなさい。

考え方:Aから x軸に垂線を下ろすと、横3・縦1の直角三角形ができます。この三角形ごと90°回すと、横の長さ3は縦の向きに、縦の長さ1は横の向きに入れかわります。

反時計回りに90°回すと、x軸の正の向きはy軸の正の向きに、y軸の正の向きはx軸の負の向きに移ります。よって A′は「左へ1、上へ3」の点です。

答え A′(−1, 3)

確かめ:OAとOA′は、どちらも横3・縦1の直角三角形の斜辺なので長さが等しくなります。

例題2

2直線ℓ、mが点Oで交わり、そのなす角は40°です。△ABCをℓについて対称移動して△A′B′C′、さらに△A′B′C′をmについて対称移動して△A″B″C″を作りました。△ABCを1回の移動で△A″B″C″に重ねるには、どのように移動すればよいですか。

考え方:対称移動を2回行うと裏返しが打ち消されるので、平行移動か回転移動です。軸が交わっているので回転移動になります。

答え 点Oを中心として80°回転移動(回転の向きは、ℓからmへ向かう向き)

7. よくあるつまずき

つまずき1:回転の向きを確認しない

「90°回転」とだけ書かれていても、問題文や図に「時計回り」「反時計回り(時計の針と反対向き)」の指定があることがほとんどです。向きを逆にすると答えがまったく違う場所になります。問題文の向きに下線を引くくせをつけましょう。

つまずき2:対称な点を斜めにとってしまう

方眼で対称移動するとき、軸までのマス数を数えても、軸と垂直な方向に数えていないとずれます。対応する点を結ぶ線は必ず軸と垂直です。軸が斜めのときは特に注意しましょう。

つまずき3:「向き」だけで移動を決めつける

形が同じ向きに見えても、回転角が360°の倍数でない限り回転移動では向きが変わります。逆に点対称移動(180°回転)は「上下左右がひっくり返る」ので、対称移動と混同しがちです。頂点の回り方(時計回りか反時計回りか)で確かめると確実です。

8. 練習問題(解答つき)

問1 △ABCを平行移動して△A′B′C′にしたところ、AA′=6cmでした。BB′の長さと、線分AA′とBB′の位置関係を答えなさい。

解答を見る

平行移動ではすべての点が同じ向きに同じ距離だけ動くので、BB′=6cm、AA′とBB′は平行(AA′∥BB′)です。

問2 座標平面上の点P(2, −3)を、原点を中心として点対称移動した点の座標を求めなさい。

解答を見る

点対称移動では原点が線分PP′の中点になるので、x座標もy座標も符号が反対になります。
答え (−2, 3)

問3 平行な2直線ℓ、mの間隔は3cmです。ある図形をℓについて対称移動し、続けてmについて対称移動しました。この2回の移動は、1回の移動でどのように表せますか。

解答を見る

平行な2本の軸で続けて対称移動すると、平行移動になります。距離は間隔の2倍です。
答え ℓに垂直な向き(ℓからmへ向かう向き)に6cmの平行移動

図形の移動を、問題でしっかり身につけよう

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執筆:GeOrigin 編集部(中学・高校の図形学習アプリ「GeOrigin」の運営チーム)。内容は中学・高校の学習指導要領と教科書の範囲に沿っています。