立体の体積と表面積 ― 角柱・円柱・角錐・円錐・球の公式と理由
立体の公式はたくさんあるように見えますが、体積は「底面積×高さ」とその3分の1、表面積は「展開図の面積」という2つの考え方でほとんど説明できます。この記事では公式を丸暗記するのではなく、なぜその形になるのかを確かめながら整理します。円錐の側面積や球の公式など、テストでミスが多いところも重点的に扱います。
1. 柱体の体積は「底面積×高さ」
角柱と円柱をまとめて柱体といいます。柱体は、底面と同じ形の薄い板を高さの分だけまっすぐ積み重ねた立体だと考えられます。厚さ1cmの板を10枚積めば高さ10cmです。板1枚の体積は「底面積×1」なので、全体の体積は底面積に高さをかければ求められます。
この考え方の良いところは、底面がどんな形でも使えることです。底面が三角形でも台形でも、まず底面積を求めれば体積は高さをかけるだけです。小学校で習った直方体の「縦×横×高さ」も、底面積(縦×横)×高さという同じ式の一つです。
2. 錐体の体積は柱体の3分の1
角錐と円錐をまとめて錐体といいます。錐体の体積は、底面積と高さが同じ柱体のちょうど3分の1です。
なぜ3分の1なのかは、立方体を使うと納得できます。立方体の1つの頂点を選び、その頂点をふくまない3つの面をそれぞれ底面とする四角錐を考えます。この3つの四角錐はどれも形と大きさが同じで、すき間なく組み合わさって元の立方体になります。1辺をaとすると、四角錐1つの体積は a³÷3 です。これは「底面積a²×高さa×1/3」と一致します。
円錐についても、同じ底面と高さの円柱に水を入れる実験をすると、円錐の容器でちょうど3杯分になります。教科書でも紹介される有名な実験です。「とがった立体は3で割る」と覚えておきましょう。
ポイント
柱体と錐体の公式の違いは「1/3 があるかないか」だけです。体積を求めるときは、まずその立体がとがっているかどうかを確認する習慣をつけると、3で割り忘れるミスがなくなります。
3. 表面積は展開図で考える
表面積は、立体のすべての面の面積の合計です。立体を切り開いて平面に広げた展開図の面積と同じなので、表面積の問題では展開図を思い浮かべるのが近道です。底面の面積をまとめて底面積、側面の面積をまとめて側面積といいます。
角柱・円柱
柱体の展開図は、上下2つの底面と、側面を開いた1つの長方形でできています。側面の長方形の縦は高さ、横は底面のまわりの長さです。側面は底面のふちをぐるっと1周包んでいるからです。円柱なら横の長さは円周の2πrになります。
角錐・円錐
錐体の底面は1つだけです。角錐の側面は三角形がいくつか集まったもので、それぞれの三角形の面積を足せば側面積になります。少し考えどころがあるのが円錐で、側面を開くとおうぎ形になります。
組み立てたとき、おうぎ形の弧は底面の円のふちにぴったり重なります。だからおうぎ形の弧の長さ=底面の円周=2πrです。おうぎ形の半径は円錐の母線です。ここから2つの便利な式が出てきます。
1つ目は中心角です。半径が母線のおうぎ形は、半径が母線の円の何分のいくつかを考えます。弧の長さは2πr、母線を半径とする円の円周は2π×母線なので、割合は r÷母線 です。よって中心角は「360°×底面の半径÷母線」になります。
2つ目は側面積です。おうぎ形の面積は「1/2×弧の長さ×半径」でも求められるので、1/2×2πr×母線=π×母線×r となります。
図2の円錐なら、中心角は 360°×3÷5=216°、側面積は π×5×3=15π cm² です。中心角を求めなくても側面積が出せるので、計算がぐっと楽になります。おうぎ形の公式の意味はおうぎ形の弧の長さと面積の記事でくわしく説明しています。
4. 球の体積と表面積
球の公式は、中1では証明せずに使います。そのぶん語呂合わせで覚える人が多い公式です。
語呂合わせだけでは不安な人のために、公式どうしのつながりを紹介します。古代ギリシャのアルキメデスは、球がぴったり入る円柱(底面の半径r、高さ2r)と比べて球の性質を調べました。
円柱の体積は πr²×2r=2πr³ です。同じ底面と高さの円錐はその3分の1なので 2/3πr³ です。そして球の体積 4/3πr³ は、ちょうどその間の2倍にあたります。つまり円錐:球:円柱=1:2:3という美しい比になっています。球は円柱の3分の2、と覚えておけば公式を忘れても復元できます。
表面積にも同じような関係があります。この円柱の側面積は 2πr×2r=4πr² で、球の表面積と等しくなります。「球の表面積は、ぴったり入る円柱の側面と同じ」と覚えておくと、4πr² の4がどこから来たのかイメージしやすくなります。
5. 入試での使われ方
入試では、公式をそのまま当てはめるだけの問題はあまり出ません。よく出るのは次のような形です。
- 回転体:長方形を1辺を軸に回すと円柱、直角三角形を直角をはさむ辺を軸に回すと円錐になります。どの辺が半径になり、どの辺が高さになるかを見きわめるのがポイントです。
- 円錐の展開図:母線と底面の半径から中心角を求める問題は定番です。逆に、中心角と母線から底面の半径を求める問題も出ます。
- 容器の水の問題:容器を傾けたり物を沈めたりして、水の体積が変わらないことから高さを求めます。「変わらない量は何か」を最初に考えるのがコツです。
中3で相似を学ぶと、円錐の上の部分を切り取った立体(円錐台)の体積を、相似比から求める問題にも発展します。くわしくは相似と面積比・体積比の記事で扱っています。
6. 例題
例題1
底面の半径が3cm、母線の長さが5cm、高さが4cmの円錐があります。この円錐の体積と表面積を求めなさい。また、展開図にしたときの側面のおうぎ形の中心角を求めなさい。
考え方:体積には高さ(4cm)を、側面積には母線(5cm)を使います。どちらを使うかを取りちがえないようにします。
体積 1/3×π×3²×4=12π cm³
表面積 底面積は π×3²=9π、側面積は π×5×3=15π。合わせて 24π cm²
中心角 360°×3÷5=216°(図2の展開図がこの円錐です)
例題2
底面が1辺6cmの正方形で、高さが4cmの正四角錐があります。側面の二等辺三角形の高さは5cmです。この正四角錐の体積と表面積を求めなさい。
考え方:ここでも「立体の高さ(4cm)」と「側面の三角形の高さ(5cm)」の2種類の高さが出てきます。体積には立体の高さ、側面積には三角形の高さを使います。
体積 1/3×6×6×4=48 cm³
表面積 底面は 6×6=36。側面は 1/2×6×5=15 の三角形が4つで60。合わせて 96 cm²
7. よくあるつまずき
つまずき1:錐体で1/3をかけ忘れる
円錐や角錐の体積を、柱体と同じ「底面積×高さ」で計算してしまうミスです。答えが3倍になってしまいます。式を書く前に「とがっているか」を確認しましょう。
つまずき2:高さと母線を取りちがえる
円錐の体積に母線を使ったり、側面積に高さを使ったりするミスです。高さは底面に垂直な長さで、母線は表面にそった斜めの長さです。体積は「高さ」、側面積は「母線」と組み合わせを決めておきましょう。
つまずき3:表面積で面を数え忘れる
柱体の底面は上下に2つあります。逆に錐体の底面は1つです。また半球の表面積では、丸い部分(4πr²の半分)だけでなく、切り口の円も忘れずに足します。展開図を頭に浮かべて、面を1枚ずつ数えると防げます。
8. 練習問題(解答つき)
問1 底面が直角をはさむ2辺3cm、4cm、斜辺5cmの直角三角形で、高さが10cmの三角柱があります。体積と表面積を求めなさい。
解答を見る
底面積は 3×4÷2=6cm²。
体積 6×10=60 cm³
側面は縦10cm、横が底面のまわりの長さ 3+4+5=12cm の長方形なので 120cm²。
表面積 6×2+120=132 cm²
問2 底面の半径が4cm、母線の長さが12cmの円錐があります。展開図の側面のおうぎ形の中心角と、円錐の表面積を求めなさい。
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中心角 360°×4÷12=120°
側面積は π×12×4=48π、底面積は π×4²=16π。
表面積 48π+16π=64π cm²
問3 半径6cmの球をちょうど半分に切った半球があります。この半球の体積と表面積を求めなさい。
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体積は球の半分なので 4/3×π×6³÷2=144π cm³
表面積は、丸い部分が 4×π×6²÷2=72π、切り口の円が π×6²=36π。
合わせて 108π cm²(切り口の円を足し忘れると72πになってしまいます)
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